SSLP

マウス由来細胞株についてマウス系統を同定する検査で、PCRを利用した簡便で信頼性の高い遺伝子多型解析の一つであるSimple Sequence Length Polymorphism(SSLP) 法を用いています。

当室のSSLP検査は、標準的に多用されている近交系マウス(C57BL/6, BALB/c, C3H, 129, DBA/2)の系統を識別することを目的として開発したものであり、6箇所のサテライトマーカー(多型)を検査しています。寄託者が登録した系統を確認することが主目的の検査です。マウス系統は多数存在しますので、上記の5系統と解析結果が一致するマウス系統が他にも存在する可能性を否定できません。
従いまして、当室が実施しているSSLP検査の結果をもって、マウス細胞の由来系統を保証するものではないことをご了承ください。

参考文献
Tsang S, Sun Z, et al. ; Mamm Genome. 2005 Jul; 16(7):476-80. (PMID: 16151692)
Berg KD, et al. ; J Mol Diagn. 2000 Feb; 2(1):20-8. (PMID: 11272898)
Beck JA, et al. ; Nat Genet. 2000 Jan; 24(1):23-5. (PMID: 10615122)

1. 準備するもの

(1) 検体

  • 細胞から抽出したゲノムDNA : 25ng/μlをテンプレートDNAとする。

(2) 機器・PCRプレート等

  • PCR用96wellプレート、プレートカバー
  • トレー/リテーナー(PCR容器に適合するもの)
  • プレートシール(粘着式)
  • サーマルサイクラー(Gold 96-well GeneAmp PCR system 9700、Applied Biosystems)
  • 希釈容器(チューブやプレート等)
  • 96well泳動プレートMicroAmp Optical 96-well Reaction Plate (Applied Biosystems Cat#N8010560 10枚)
  • Applied Biosystems 3130 Genetic Analyzer(Applied Biosystems)
  • 3100/3130/3730 96-wellプレートセプタ(Applied Biosystems Cat#4315933 20枚)
  • 3130 36-cm Capillary Array 47cm×50μm 4本/アレイ(Applied Biosystems Cat#4333464)
  • 3100/3130 96-well プレートリテーナー(Applied Biosystems Cat#4317241 4枚)
  • 3130 POP-4 ポリマー(Applied Biosystems Cat#4352755 7.0ml)

(3) PCRプライマー

  • ABI PRISM Mouse Mapping Primers v1.0 (Applied Biosystems 3000pmol 5μM each primer)
プライマー名(略称) マーカー 蛍光標識 カタログ番号
1G D1Mit159.1 VIC(緑) 4323000
2B D2Mit395.1 6-FAM(青) 4323128
23B D4Mit170.1 6-FAM(青) 4323227
4G D5Mit201.1 VIC(緑) 4323237
11Y D13Mit256.1 NED(黄) 4323745
15Y D17Mit51.1 NED(黄) 4323803

※販売中止だが、Primerのカタログ番号から作成してもらえる

(4) 試薬

  • True Allele PCR Premix (Applied Biosystems Cat#403061 2000反応分)
  • GeneScan –500 LIZ Size Standerd (Applied Biosystems Cat#4322682 800レーン分) 蛍光標識はLIZ(橙)
  • Hi-Di formamide(Applied Biosystems Cat#4311320 25ml)
  • Genetic Analyzer Buffer with EDTA(Applied Biosystems Cat#402824 25ml)
  • DDW

2. 方法
(1) PCR
  1) 各プライマー(1G、2B、11Y、23B、15Yの濃度は原液のまま5μM、4Gのみ1/5に希釈し1μM)を1μlずつ、PCR用96 wellプレートのウェルに入れる。
  2) True Allele PCR Premix希釈液を各ウェルに11.6μlずつ加える。

  • True Allele PCR Premix希釈液の組成
DDW 2.6μl
True Allele PCR Premix 9.0μl

希釈液の液量 11.6μl

  3) 検体をDDWで25ng/μlに希釈し、各ウェルに2.4μlずつ加える。
  4) PCR用96 wellプレートをトレー/リテーナーと共にサーマルサイクラーにセットする。
  5) PCR program
   Ramp Speed : 9600
   Stage1 : 95℃ 12分(1サイクル)
   Stage2 : 94℃ 20秒 → 55℃ 20秒 → 72℃ 30秒(10サイクル)
   Stage3 : 89℃ 20秒 → 55℃ 20秒 → 72℃ 30秒(20サイクル)
   Stage4 : 72℃ 10分(1サイクル)
   Stage5 : 4℃ (保存)

(2) 増幅断片のキャピラリー電気泳動
青、黄、緑3色の増幅サンプルはマーカーグループごとに1本にまとめて泳動する。

  • Group1  1G 2B 11Y
  • Group3  4G 15Y 23B

  1) 増幅サンプルを2μlずつ希釈容器に移す。この時グループごとに3ウェルのサンプルを1本(又は1ウェル)にまとめる。
  2) DDWを14μlずつ加え、ピペッティングにより混和する。(各増幅サンプルが1/10希釈になる。)
  3) 泳動カクテルを調製する。
   ※ 泳動サンプル数は1検体につき2サンプル。

  • 泳動カクテルの組成
1サンプルあたりの液量
脱イオン化ホルムアミド 19.5μl
Size Standard 0.5μl

カクテルの液量 20.0μl

  4) 泳動カクテルを10~15秒間ミキサーで攪拌し、泳動用プレートに20μlずつ分注する。
  5) 増幅サンプル希釈液を1μlずつ加える。
  6) セプタストリップで蓋をし、95℃、3分間加熱後、直ちに氷上に移し3分間冷却する。
  7) サンプルプレートの上にプレートリテーナーをはめる。
  8) 装置(3130 Genetic Analyzer)にかけ泳動を行う。

(3) 解析
ABI PRISM GeneMapper v4.0にて解析を行う。

解析例



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