RCB0446 PC-14 について

平成23年11月28日

PC-14(RCB0446)細胞を使用された研究者の皆様へ

理化学研究所バイオリソースセンター
細胞材料開発室  中村 幸夫

 

 平素より理化学研究所バイオリソースセンター細胞材料開発室(理研細胞バンク)をご利用いただき、誠に有り難うございます。
 以前に当室よりご提供いたしましたPC-14細胞(RCB0446)につきまして、最近になり下記の事実が判明いたしましたので、ご報告申し上げます。
 PC-14細胞は、1989年に「肺腺癌(低分化型)由来の細胞株」として当室に寄託されて以来、RCB0446として提供してきた細胞株です。 しかし、最近になり、PC-14細胞が株式会社免疫生物研究所様(IBL)からも販売されていることを知りました。
 IBL社様はPC-14細胞に加えて、PC-9等の他のPCシリーズの一連の細胞株も販売しております。 当室にて、PC-14細胞(RCB0446)及びIBL社様のPC-14細胞並びにPC-9細胞のDNAを用いて細胞株起源確認検査(STR多型解析:詳細は別添報告書をご参照下さい)を行った結果、当室のPC-14細胞(RCB0446)とIBL社様のPC-9細胞とが同一のパターンを示し、同一の細胞株である可能性が高いことが判明いたしました。
 IBL社様では、PC-14細胞は肺腺癌(低分化型)由来の細胞株として、PC-9細胞は肺腺癌(分化型)由来の細胞株として提供しており、PC-9細胞とPC-14細胞は異なる患者由来の細胞であることがSTR多型解析で確認されております。
 当室にはPC-14細胞のみが寄託されており、PC-9細胞は寄託されておりません。 また、当室のPC-14細胞(RCB0446)について、寄託当初に保存された証拠細胞と現在提供中の細胞との双方を用いてSTR多型解析を実施し、同一の結果を得ておりますので、当室では一貫して寄託当初の細胞と同一の細胞を提供してきたことは間違いございません 即ち、細胞の寄託時点から誤認があったものでありますが、誤認が細胞の樹立から当室への寄託までのどのような段階で発生したかにつきましては不明です。

結論:

 当室がPC-14細胞(RCB0446)として提供してきた細胞は、現在IBL社様がPC-9細胞として販売している細胞と同一のものです。 尚、サンガー研究所が公開しているPC-14細胞のゲノムに係るデータ(下記URL)は、当室がこれまでPC-14細胞(RCB0446)として提供してきた細胞の結果です。
http:http://cancer.sanger.ac.uk/cosmic

代替細胞の無償提供:
 PC-14細胞(RCB0446)の代替細胞として他の癌細胞株等の使用をご希望の際には、無償でご提供いたしますので、ご連絡をください。 当室では癌細胞株を多数保有しております。

今後の対応:
 当室が提供したPC-14細胞(RCB0446)を用いて論文発表されたようなケースで、雑誌発行元への連絡が必要となった場合におきましては、当室から事情説明の文書を発行することも可能ですので、ご遠慮なくご連絡をください。

 

 利用者の皆様方には大変なご迷惑をおかけする事態となりましたこと、心よりお詫び申し上げます。
 当室では所有する全ヒト細胞株に関してSTR多型解析法による細胞株起源確認検査を終了しております。 同検査が研究で用いられる全てのヒト細胞株に関して実施され、解析結果に係る世界共通のデータベースが構築され公開されることによって、今回のような細胞提供機関間での細胞起源の混乱は解決されるものと考えております。 当室もそうした世界的な取り組みに積極的に参画しております。
 細胞バンク事業へのご理解とご協力の程、今後とも宜しくお願い申し上げます。

 

お問い合わせ先:

〒305-0074 茨城県つくば市高野台3-1-1
独立行政法人 理化学研究所 バイオリソースセンター
細胞材料開発室
E-mail: cellqa.brcriken.jp



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