EBV検査

EBウイルス(Epstein-Barr virus)は、伝染性単核球症(Infectious mononucleosis)の原因ウイルスとして知られていますが、バーキットリンパ腫、上咽頭癌など悪性腫瘍とも関連しているため、ヒト血液由来細胞株(EBV形質転換B細胞株を除く)やEBV感染が癌発症の原因との報告があるヒト癌細胞株(口腔癌、食道癌、胃癌)について、EBVのBMLF-1遺伝子を標的としたプライマーを用いて、培養細胞ゲノムにインテグレートされたEBVプロウイルスを PCRによって検出しています。

1. 準備するもの
(1) 検体

  • サンプル :抽出ゲノムDNA溶液
  • 陰性対照1:PCR mixture及びDNA希釈に用いた精製水
  • 陰性対照2:過去の検査でEBV陰性であった検体
  • 陽性対照 :過去の検査でEBV陽性であった検体
    (抽出後の濃度測定で30μg/μl以上であったゲノムDNAは精製水で10倍希釈して用いる。30μg/μl未満は希釈せず用いる)

(2) 機器

  • サーマルサイクラー(Gold 96-well GeneAmp PCR system 9700、Applied Biosystems)

(3)PCRプライマー

  • EBVプライマー
      F-EBV(TC-70) forward 5’-CTTGGAGACAGGCTTAACCAGACTCA-3’
      R-EBV(TC-72) reverse 5’-CCATGGCTGCACCGATGAAAGTTAT-3’

  • 内部コントロールプライマー
      β-globin forward 5’-GGTTGGCCAATCTACTCCCAGG-3’
      β-globin reverse 5’-TGGTCTCCTTAAACCTGTCTTG-3’

参考文献 : C.C. Uphoff et al., Journal of Biomedicine and Biotechnology, Vol. 2010 (2010), Article ID 904767

2. 方法
(1) PCRマスターミックス

DDW 14.25µl
Forward プライマー[F-EBV(TC-70) or β-globin forward](10pmol/µl) 0.5µl
Reverse プライマー[R-EBV(TC-72) or β-globin reverse](10pmol/µl) 0.5µl
10 x Ex Taq Buffer 2.5µl
2.5mM each dNTP mix 2.0µl
Ex Taq Hot Start Version 0.25µl

Total 20.0µl/Sample

(2) PCRチューブにマスターミックスを20μlずつ分注する。
(3) 1.(1)で用意した検体を5μlずつ加える
(4) PCR program

Ramp Speed : 9600

Stage1 : 94℃  5分(1サイクル)
Stage2 : 95℃  30秒 → 60℃  30秒 → 72℃  1分 (35サイクル)
Stage3 : 72℃  5分(1サイクル)
Stage4 : 4℃  (保存)

(5) 電気泳動結果例(1.5%アガロースゲルを使用)

3. 判定
内部コントロール(β-globin) (262bp)のバンドが陰性対照1(精製水)以外にあること、またEBV (265bp)のバンドが陽性対照にあることを確認後、検体の判定を行う。
   陰性 : EBV (265bp)のバンドがない
   陽性 : EBV (265bp)のバンドがある



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